今回はホルモン治療の1つであるスピロノラクトンについて解説していきます。
スピロノラクトンを使ったニキビ治療は海外ではよくおこなわれていますが、日本では一部の美容皮膚科でしか取り扱っていません。
しかし”ニキビの原因となるホルモンにアプローチできる治療なので、根本的な改善”が見込めます。
ただ”男性には使えなかったり、副作用があったりするため、日本皮膚科学会はニキビ治療に推奨していません。”
今回はそんなスピロノラクトンについて解説していきます!
スピロノラクトンが気になっていた方は参考にしてみてください!
スピロノラクトンとは?
スピロノラクトンとは、抗男性ホルモン薬の一種です。
スピロノラクトンは利尿薬として使われることが多いですが、ニキビ治療としても使われます。
男性ホルモンを抑制する働きがあるため、経口避妊薬(ピル)と併用して利用されることが多いです。(単体でも利用可)
しかし、経口避妊薬のプロゲストゲンよりも優位と評価されている報告はほとんどありません。
ピルを使ったホルモン治療はニキビに効果抜群!?副作用も少なめ
尋常性ざ瘡治療ガイドライン2017では、「赤ニキビと白ニキビのどちらにもスピロノラクトン内服は推奨しない」と評価されています。
ただ一部の美容皮膚科の治療では効果があがっていますし、標準治療の効果がなかったという場合はやってみる価値ありです。
スピロノラクトンのメカニズムとニキビへの効果
スピロノラクトンは主に男性ホルモンを阻害することで、ニキビを予防します。
そもそも男性ホルモンがニキビの原因になる理由は”脂腺細胞やケラチノサイトがアンドロゲン受容体をもっていて、男性ホルモンがアンドロゲン受容体に結合するから”です。
上記の表をみればわかりますが、テストステロンとジヒドロテストステロンがアンドロゲン受容体に結合しようとしています。
そして、アンドロゲン受容体が”ケラチノサイトを増殖させたり、皮脂分泌を促進したり”します。
スピロノラクトンはこの流れを断ち切り、そもそもアンドロゲン受容体に結合しないよう予防してくれるのです。
スピロノラクトンの副作用
男性ホルモンにアプローチしてくれるスピロノラクトンですが、副作用もあります。
- 頭痛
- めまい
- 低血圧
- 女性化乳房
- 乳房痛
- 浮腫
- 月経不順
スピロノラクトンを男性が使うと、”女性化乳房が副作用として見られた”という報告もされています。
そのため、基本的には女性に使うことがほとんどです。
女性に関しても、浮腫や月経不順などの副作用が見られています。
ただ他の薬と比較すると、肌に大きな副作用は見られません。
乾燥や刺激感といった副作用もあまりないので、比較的穏やかといえます。
尋常性ざ瘡治療ガイドライン2017ではC2(推奨しない)という評価
日本皮膚科学会が作成しているニキビ治療ガイドライン2017では、”スピロノラクトンは推奨されていません。”
炎症性皮疹あるいは面皰のいずれを主体とする痤瘡にも,スピロノラクトン内服を推奨しない。
(引用元:尋常性ざ瘡治療ガイドライン2017)
理由としては以下の3つが挙げられています。
- 女性化乳房や月経不順などの副作用がある
- 保険適用外となっている
- 他の治療との比較がない
スピロノラクトンの治療は日本でも試験がされています。
この試験では139人に対しておこなわれましたが、”男性は全員脱落し、女性も半数が脱落している”ようです。
ただ”アメリカでは第二選択肢薬ですし、国際的なガイドラインでも重症のニキビに推奨”されています。
先ほども言いましたが、標準治療で効かなかった場合はホルモン治療がおこなえる美容皮膚科を検討してみる価値はあるでしょう。
まとめ
スピロノラクトンはニキビの根本的な治療になりうる薬です。
男性ホルモンによる影響を防げるので、ニキビに悩む女性の強力な味方になります。
しかし男性には使いづらい部分もありますし、副作用がないわけではありません。
特に日本では推奨されているわけではないので、「標準治療が効かないときに」利用してください。