「ピルを飲むとニキビが治るって本当ですか?」
「ピルを飲むのをやめたら、ニキビができました・・・」
今回はピルによるニキビ治療について解説していきます。
ピルを使ったホルモン治療は”アメリカや欧州、国際的なガイドラインで重症ニキビに推奨”されています。
日本では未承認で、保健も適用されない治療方法です。
しかし、重症ニキビを改善させられることが科学的に証明されています。
ピルのホルモン治療は重症ニキビに悩んでいる人にオススメしたい治療法の1つです。
強力な治療方法ではありますが、副作用や注意点もあるので詳しく解説していきます!
目次
ピルのホルモン治療がニキビに効果がある3つの理由
ピルがニキビに効果がある理由は主に3つあります。
- 男性ホルモンの働きが減る
- 黄体ホルモン(プロゲステロン)を抑制する
- 卵胞ホルモン(エストロゲン)がニキビのできにくい肌にする
それぞれ説明していきます。
1.男性ホルモンの働きが減る
ニキビの原因の1つに男性ホルモンが挙げられます。
男性ホルモンはニキビの原因になる2つの要素をもっているのです。
- 過剰な皮脂分泌
- 角化異常
男性ホルモンが優位になると、皮脂が過剰に分泌されます。
皮脂が過剰に分泌されるとアクネ菌がより繁殖して、ニキビの炎症を悪化させてしまうのです。
また角化異常もニキビの原因となっています。
角化異常とは、肌表面のバリア機能を厚くしてしまう肌トラブルです。
この状態になると、ニキビの原因になってしまいます。
そしてこれらの状態をピルが男性ホルモンを抑制することで防いでくれるのです。
今まで他の薬ができなかった根本的なところからの予防です。
2.黄体ホルモン(プロゲステロン)を抑制してくれる
女性ホルモンには、”黄体ホルモン”と”卵胞ホルモン”と呼ばれる2つのホルモンがあります。
生理前に多く分泌されるのが黄体ホルモンです。
生理前になると、イライラやむくみが出ますが、これは黄体ホルモンの影響です。
”黄体ホルモンはニキビやシミをできやすくします。”
このホルモンは男性ホルモンのような働きがあり、皮脂の分泌を過剰にするのです。
経験がある人もいると思いますが、生理前にニキビや肌荒れがしやすいのはこの影響と考えられます。
ピルはこうした黄体ホルモンの働きを抑制してくれます。
3.エストロゲンがニキビのできにくい肌にする
女性ホルモンにはプロゲステロンの他にエストロゲンという卵胞ホルモンがあります。
このホルモンが活性化されていると、ヒアルロン酸の量が増えて、肌の水分量が高くなります。
結果としてニキビのできにくい肌となるため、美肌ホルモンとも言われています。
ピルを飲むとこのエストロゲンの量が増えるため、皮脂の分泌量が減り肌の水分量が高くなるのです。
ニキビに使われているピルの種類
ピルは黄体ホルモンに似た物質を配合しています。
プロゲストーゲンと呼ばれているもので、この種類によって分類されています。
- 第一世代(ノルエチステロン)
- 第二世代(レボノルゲストレル)
- 第三世代(デソゲストレル)
- 第四世代(ドロスピレノン)
この中で”血栓症のリスクが比較的低いと言われているのは第一世代と第二世代”です。
しかし、喫煙者ではなく高血圧で無ければ、血栓症のリスクを気にする必要は無いようです。
ここではニキビ治療に使われることが多い低用量ピルを紹介します。
1.トリキュラー
トリキュラーは第二世代のピルです。
トリキュラーには、21日間飲むタイプと28日間飲むタイプがあります。
トリキュラーのジェネリック医薬品なのがラベルフィーユというピルです。
日本で一番人気と言っていいほど使われているピルなので、後ほど解説します。
2.ヤーズ
ヤーズは第四世代の低用量ピルです。
卵胞ホルモンが少ない低用量ピルですが、”2011年11月~2014年1月の間で血栓症によって3人死亡した”という報告がされています。
このことから卵胞ホルモンが少なくても、別の要因で血栓症のリスクが高まるということがわかります。
ニキビに効きやすいピルのひとつですが、自分の体調や状況を見て検討してください。
3.マーベロン
マーベロンは第三世代のピルです。
マーベロンにも21錠と28錠の2種類があります。
ニキビ治療によく利用されるピルの一種で、皮脂の分泌が少ないのが特徴です。
比較的血栓症のリスクが高いですが、ニキビ治療の効果が高くなっています。
4.ラベルフィーユ
トリキュラーのジェネリック医薬品で、同じく第二世代のピルです。
- ジェネリック医薬品とは?
- ジェネリック医薬品とは、特許が切れた医薬品を他の会社が安く作った薬のことです。同じ成分が含まれていますが、安い値段で手に入れることができます。
低用量ピルの副作用のひとつである不正出血のリスクが低いのが特徴です。
ニキビ治療にも効果が高いとされています。
ピルの副作用
ピルは基本的に安全性が高く、重い副作用が出る確率も低いのが特徴です。
それでも副作用がないということはなく、注意すべき点もあります。
- 血栓症
- 脳梗塞
- 心筋梗塞(喫煙者)
- 子宮頸がん
これらの危険率が高くなる可能性があります。
ちなみに乳がんの確率は増加せず、卵巣がんや子宮体がんは減少すると言われています。
またこの他にも注意点として以下の4つの方には慎重投与や投与が禁止されています。
- 高血圧
- 喫煙
- 肥満
- 高年齢(40歳以上)
ピルは抗生物質よりも副作用の危険が低いですが、無いということはありません。
利用するときは十分に注意して、皮膚科医の指示に従いましょう。
ピルをやめたらニキビが再発してしまう理由
ピルは強力な治療方法ではあるのですが、再発率が高いのがデメリットの1つです。
肌のクリニックさんが言うには、”約60%の再発率”のようです。
デメリットとしては、効果が現れるまで多少の時間がかかり、治療開始後、3ヶ月間は30%の患者さんで一過性にニキビの増悪がみられます。平均して4ヶ月目から、徐々にニキビが改善していきます。また、再発率が約60%(※)と高いことも欠点です。再発した場合は、治療前のレベルに戻ってしまう患者さんも10%~20%の割合でいらっしゃいます。
(引用元:ホルモン療法によるニキビ治療)
海外のガイドラインを見てみると、ピル単体ではなく塗り薬と組み合わせて利用しています。
というのも、ニキビ治療でピルをやめてしまうと、元のニキビのできやすいホルモンバランスに戻ってしまうのです。
だから、ホルモン治療の他に塗り薬などが必要で、ピルが終わってからも続けなければなりません。
避妊のために飲んでいてニキビができてしまった人の対策
ニキビ治療ではなく、避妊をしていてニキビができてしまうという人も多いです。
メカニズムとしてはホルモンバランスがニキビのできやすい状態に戻ったことが考えられます。
とは言っても、一時的なもので数ヶ月で落ち着きます。
しかし、放置していて長引いてしまうケースもあるため、一度皮膚科へいくのが無難です。
避妊前にニキビがあったという方はとくに皮膚科で治療を受けるのがいいでしょう。
このときに洗顔料や化粧水を探してしまうと、根本的な治療にならないので注意してください。
ピル治療をするときの3つの注意点
1.保健が適用されない
ピルはニキビに有効ですが、保険が適用された薬ではありません。
ニキビ治療をし始めの人は、保険が適用された治療があります。
”優先してやるべきは保険が適用された治療”です。
有名どころで言えば、「ディフェリンゲル」や「ダラシンTゲル」などの高い効果をもった薬があります。
これらは保険が適用されていて、3割負担で治療を受けることができます。
ピルがニキビに効果があるのは疑う余地はありませんが、”保険が適用される治療を受けて効果が無かったときに使うべき”です。
2.一時的な効果の場合が多い
ピルを飲んでいるときは男性ホルモンが抑制されて、女性ホルモン優位になります。
しかし、”ピルを飲み終わってからニキビが再発してしまう場合が多い”です。
この場合は、再度ニキビ治療を行う必要があります。
ピルによって肌がキレイになったとしても、”ニキビを再発しないように維持療法として薬を使うべき”です。
もし、ピルを使ってニキビが治ったけど、再発したという人は皮膚科へ相談に行きましょう。
3.個人輸入はオススメできない
ピルは避妊薬として個人輸入で手に入れることができます。
しかし、個人で勝手に判断して、治療するのはおすすめできません。
ピルを使ったニキビ治療をするときは、必ず皮膚科医の先生の指示に従って治療を行ってください。
副作用の問題もありますので、勝手に使わないように治療をしましょう。
まとめ
ピルを使った治療はニキビに効果的で、副作用もほとんどありません。
海外で重症ニキビに使われている方法なので、十分にやる価値のある治療法です。
ただし避妊につながってもいいと考えている成人女性にオススメします。
このホルモン治療は男性におこなえない治療なので注意してください。
重症ニキビに悩んでいる人の参考になれば幸いです。
- ニキビの治し方講座【重症編】