オナニー

 

今回はニキビとオナニーの関係をできる限り科学的な根拠付きで解説していきます。

オナ禁関連のサイトを見ていると、「オナ禁をすればニキビが治る!」などと書かれています。

 

理屈としてはオナニーがニキビに悪影響なので、それを禁止すれば治るというものです。

ニキビの原因として男性ホルモンが挙げられるので正しそうですが、実際はどうなのでしょうか?

ニキビとオナニーの関係について、気になっている方は参考にしてみてください!

 

※今回は男性向けです

 

テストステロンの基本を簡単におさらい

テストステロン

 

男性ホルモンについて解説すると、色々な単語が出てきます。

ニキビとオナニーの関係性について解説する前に簡単におさらいします。

 

まず、”アンドロゲン(男性ホルモン)”はステロイドホルモンの一種です。

ステロイドホルモンの中には、性ホルモンと副腎皮質ホルモンに別れていて男性ホルモンや女性ホルモンは副腎皮質ホルモンに分類されます。

 

そして、”テストステロンはアンドロゲンの一種”です。

他にも、テストステロンから変換されるジヒドロテストステロンやテストステロンに変換されるアンドロステンジオンなどがあります。

 

”ニキビとオナニーの関係で説明するのは、主にテストステロンとジヒドロテストステロンの2つ”です。

特にジヒドロテストステロンは、理論としてはニキビの原因に関わっています。

 

ニキビとオナニーの関係は結論が出ていない

結論から言って、ニキビとオナニーの関係は結論が出ていません。

理論上は、”アンドロゲン(男性ホルモン)がニキビの原因になることは間違いない”です。

これはニキビの治療にホルモン治療があることからも想像がつきますが、ちゃんと研究もされています。

 

Androgens stimulate proliferation of keratinocytes, size of sebaceous glands and sebum secretion.

(訳:アンドロゲンは、ケラチノサイトの増殖、皮脂腺の大きさおよび皮脂分泌を刺激する)

(引用元:The aetiopathogenesis of acne vulgaris – what’s new?

 

ケラチノサイトとは、表皮の角化細胞のことです。

この細胞が増えると、毛穴が閉じやすくなってしまいます。(詳しくは後述します)

 

しかし、肝心の血中アンドロゲン濃度とニキビの関係は賛否両論あります。

※ここが証明できないと、オナ禁でアンドロゲン濃度を変えようとしても、ニキビには影響がないということになってしまいます。

 

以下はアンドロゲンと男女の皮脂腺の活性を調査した論文から引用します。

 

Serum levels of dehydroepiandrosterone sulfate, androstenedione, testosterone, and dihydrotestosterone were significantly higher in women with acne than in women without acne.

(訳:デヒドロエピアンドロステロンスルフェート、アンドロステンジオン、テストステロン、ジヒドロテストステロンの血清レベルは、にきびのある女性では、にきびのない女性より有意に高かった。)

(引用元:Androgen metabolism in sebaceous glands from subjects with and without acne

 

こちらはアンドロゲンの血清レベルがニキビのある女性は健常人よりも有意に高いことを示す結果でした。

 

No differences in serum androgen levels were noted in men on the basis of the presence of acne.

(訳:にきびの存在に基づいて、男性において血清アンドロゲンレベルの差は認められなかった。)

(引用元:Androgen metabolism in sebaceous glands from subjects with and without acne

 

一方で”男性はニキビのあるなしで、血清アンドロゲンに差が認められないという面白い結果”になっています。

この論文だけを引用すると、男性のオナ禁はニキビには影響なしという結論になってしまいます。

 

しかし、”色々な研究がされて結果が一定ではないのと、理屈としては影響があるものなので、結論が出ていないのが現状”です。

よって、ニキビとオナニーの関係は証明できていません。

 

ニキビが男性ホルモンの影響を受けるメカニズム

男性ホルモンとニキビの関係

 

先ほど簡単に触れましたが、よりわかりやすくアンドロゲンとニキビの関係を解説します。

まず、”男性ホルモンは表皮の角化細胞の増殖や皮脂腺の増大を促進するため、ニキビの原因になる”とわかっています。

男性ホルモンからニキビの原因になるメカニズムはやや専門的な話になりますが、できるだけ簡単に解説します。

 

 

角質層

 

まず表皮の角化細胞とは、この4つに層でそれぞれ存在する細胞です。

特に男性ホルモンの影響で増殖するのは一番上にある角質層の角質細胞です。

 

”角質細胞が増殖すると、皮膚が厚くなり毛穴が閉じてしまうと、ニキビに”なります。

しかも、男性ホルモンは皮脂を分泌する皮脂腺を増加させたり、皮脂分泌を促進させたりします。

特に”ニキビに悩んでいる人は角質細胞や脂腺細胞で、5-αリダクターゼの活性が見られるという報告”もされています。

 

the increased activity of 5 α‐reductase and 17 β‐hydroxysteroid dehydrogenase in epidermis and hair follicles was observed in patients with acne when compared to the healthy population.

(訳:健常人集団と比較して、座瘡患者では、表皮および毛包における5α-レダクターゼおよび17β-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼの活性の増加が観察された。 )

(引用元:The aetiopathogenesis of acne vulgaris – what’s new?

 

テストステロンが5-αリダクターゼによって、ジヒドロテストステロンに変換されるのはご存知と思いますが、このホルモンが角質細胞と脂腺細胞のアンドロゲン受容体に作用しています。

つまり、”ニキビに悩む人はジヒドロテストステロンに変換させる物質も多い”ということです。

 

オナ禁と男性ホルモンの論文と結果まとめ

1.オナ禁1週間で血清テストステロンが45.7%上昇する

この実験はオナ禁をしている人なら、一度は見たことがある有名なものです。

 

オナ禁論文

 

On the 7th day of abstinence, however, a clear peak of serum testosterone appeared, reaching 145.7% of the baseline.No regular fluctuation was observed following continuous abstinence after the peak.

訳:しかし、禁欲の7日目に、血清テストステロンの明確なピークが現れ、ベースラインの145.7%に達した。ピーク後の絶え間ない禁断症状の後に規則的な変動は観察されなかった。

引用元:A research on the relationship between ejaculation and serum testosterone level in men.

 

この試験では”オナ禁の1週間後に血清テストステロンが45.7%向上”し、その後低下しています。

”血清テストステロンが低下した後は禁断症状が現れつつも、そこから規則的な変化は見られませんでした。”

この試験結果から7~9日毎のオナ禁にする人も多いです。

 

2.3週間オナ禁した男性はリセット後もテストステロン値が維持した

3週間のオナ禁とテストステロン

 

This current study examined the effect of a 3-week period of sexual abstinence on the neuroendocrine response to masturbation-induced orgasm.

訳:この研究は、3週間の性的禁欲のオナニー誘発オルガスムに対する神経内分泌反応に対する効果を調べた。

Orgasm increased blood pressure, heart rate, plasma catecholamines and prolactin. These effects were observed both before and after sexual abstinence. In contrast, although plasma testosterone was unaltered by orgasm, higher testosterone concentrations were observed following the period of abstinence. These data demonstrate that acute abstinence does not change the neuroendocrine response to orgasm but does produce elevated levels of testosterone in males.

訳:オーガスムは血圧、心拍数、血漿カテコールアミンおよびプロラクチンを増加させた。これらの効果は、性的禁欲の前後で観察された。対照的に、血漿テストステロンはオーガズムによって変化しなかったが、禁欲期間後にはより高いテストステロン濃度が観察された。これらのデータは、急性禁欲がオルガスムに対する神経内分泌反応を変化させないが、男性においてテストステロンレベルを上昇させることを示している。

(引用元:Endocrine response to masturbation-induced orgasm in healthy men following a 3-week sexual abstinence

 

この試験は3週間オナ禁した状態とオナ禁前の状態で、オナニーをしたときのテストステロン値の変動を見たデータです。

”オナ禁後は60分後まで高いテストステロン値を維持”しています。

 

しかし、”オナ禁前は20分後から大幅に低下している”のがわかります。

この論文ではオナ禁後の性的欲求の高まりによって、テストステロンが維持されていると考察されています。

 

3.3ヶ月以上のオナ禁・性行為禁止をすると、テストステロン値が低下する可能性がある

ある勃起不全患者に対する研究では、”3ヶ月以上の性的活動の禁止がテストステロン値の低下につながっていることを示唆”しています。

ただこの研究は健常者ではなく、勃起不全の方なので健常者に当てはまるものなのかはわかりません。

 

In this study we show that total and free testosterone serum levels in impotent patients are significantly reduced by 37% and 29%, respectively, when compared with a group of age‐matched healthy men.

(訳:この研究では、年齢が一致した健康な男性のグループと比較して、失禁患者における総テストステロンおよび遊離テストステロン血清レベルが、それぞれ37%および29%有意に低下することを示す。)

In conclusion, we have demonstrated that the loss of sexual activity is characterized by relatively reduced testosterone levels, and that its resumption can restore this endocrine pattern.

(訳:結論として、性的活動の喪失はテストステロンレベルの低下が特徴であり、その再開はこの内分泌パターンを回復させることが示されている。)

引用元:Lack of sexual activity from erectile dysfunction is associated with a reversible reduction in serum testosterone

 

長期オナ禁についての論文がなかったので、ずっと探していたのですが勃起不全の研究しか見つかりませんでした。

オナ禁の研究ではありませんが、長期のオナ禁がテストステロン値を下げる可能性があることを示唆しています。

 

特に他の研究とは違い、総テストステロンと遊離テストステロンのどちらもが低下しています。

ただ”長期オナ禁をしていても、性的活動を再開すればテストステロン値を回復させることは可能”です。

 

4.オナニーの前後でテストステロンの有意差は認められなかった

A significant difference was not apparent between testosterone measurements taken before and after orgasm, and coitus did not appear to affect plasma luteinizing hormone levels.

オルガズムの前後でテストステロン測定値との有意差は認められず、性交は血漿黄体形成ホルモンレベルに影響しないようであった。

(引用元:STUDIES ON THE RELATIONSHIP BETWEEN PLASMA TESTOSTERONE LEVELS AND HUMAN SEXUAL ACTIVITY

 

この試験では、”オナニーの前後で血清テストステロン値に有意差が認められません”でした。

具体的にはオナニー中にテストステロン値が高まり、その後自然な状態へと低下していきます。

ただ2の試験ではオナニー後にテストステロン値が低下しているので、結果は一定ではないようです。

 

オナ禁・オナニーと男性ホルモンの考察

1や2の結果から、”オナ禁状態の方が一時的に総テストステロン値が高まる”ことがわかります。

特にオナ禁を習慣化していれば、リセット後も総テストステロン値が高い状態を維持できます。

 

テストステロンの構成

(引用元:順天堂大学医学部付属順天堂医院泌尿器科-メンズヘルス外来

 

ただしこれらはあくまで総テストステロン値の話で、遊離(フリー)テストステロンがどうなるかは結果として出ていません。

体内で作用するのは遊離テストステロンなので、遊離テストステロンとオナ禁の試験が必要です。

ただ「オナ禁の科学」では、”睡眠効率や精神状態の試験から見てオナ禁が遊離テストステロン濃度増加をもたらしている可能性がある”と説明しています。

 

テストステロン血中濃度が低い場合、テストステロン濃度と睡眠効率、精神状態の間には相関関係がある。「オナ禁」による寝起きの改善、睡眠時間の短縮の効果は、活性テストステロン濃度の増加によって睡眠効率が改善することにより発現している可能性がある。

(引用元:オナ禁の科学

 

特に”遊離テストステロンは、年齢とともに低下する”ことで知られています。

もしオナ禁による効果があるなら、加齢とともに低下する遊離テストステロン濃度を少しでも高くできる可能性が出てきます。

 

しかし3の結果より、”3ヶ月以上の長期オナ禁・性行為禁止が総テストステロンと遊離テストステロンの両方を低下”させました。

こちらの結果はどちらのテストステロンも低下させていますが、勃起不全患者という前提があるので健常者の場合はどうなるかが不明です。

ただし、”長期のオナ禁が有害となる危険性を示唆”しています。

 

また4の結果からオナニーがテストステロン値を急激に変化させるということはないでしょう。

2の結果から20分後は大きく低下しますが、その後自然な数値に戻っていきます。

 

オナニーの有害性でいえば「ラットを使った実験」によると、”頻繁なオナニーがアンドロゲン受容体濃度を低下させる”という結果が出ています。

ニキビと男性ホルモンのところでも説明したようにテストステロンはアンドロゲン受容体ありきなので、これが低下するということは頻繁なオナニーが有害になる可能性があります。

これもあくまでラットによる実験なので、健常者の男性では不明です。

 

まとめ

今回はニキビとオナニーについて解説しました。

調査する前はニキビとアンドロゲン濃度とアンドロゲン濃度とオナニーの関係を調べて証明できると思っていましたが、うまくは行きませんでした。

 

理屈としては男性ホルモンがニキビの原因に関わっていますが、”男性はニキビの有無でアンドロゲン濃度に差がない”という結果が出ています。

なので、”オナニーやオナ禁でテストステロン値が変化しても、その違いがニキビの原因になるとは考えにくい”です。

ただし、まだ研究の余地がある部分なので、今後の報告を待ちましょう。