「ニキビに漢方が良いと聞いたけど、効果ありますか?」
「ニキビにはどんな漢方薬が使われているのか知りたい!」
今回は、ニキビ治療に使われている漢方薬について解説していきます。
漢方薬は東洋医学でニキビ治療に使われていないイメージがあるかもしれませんが、”選択肢の1つとして推奨されている立派な治療”です。
しかし漢方薬は東洋医学的な考え方をしていて、少しとっつきにくい印象があるのかもしれません。
漢方薬は標準治療で治らなかったニキビに対して有効だという報告もありますし、副作用も小さく済みます。
”別の方向からの治療となるため、重症ニキビに悩んでいる人ほど試してもらいたい方法”です。
漢方薬が気になっている方は参考にしてみてください!
目次
漢方でのニキビ治療について
漢方とは、いわゆる東洋医学の治療方法です。
基本的な考え方は、”ニキビそのものを治すというよりも体質改善をすることでニキビを治療していく”という考えです。
日本のニキビ治療ガイドラインでも、選択肢の1つとして推奨されています。
推奨されているのは主に3種類です。
- 荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)
- 清上防風湯(せいじょうぼうふうとう)
- 十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)
”赤ニキビにはこの3つとも選択肢の1つとして推奨されていますが、白ニキビに対しては荊芥連翹湯のみ”です。
しかしこれらの漢方薬以外にも、標準治療で治らなかったニキビに対して改善させている例が多くあります。
今回はガイドライン以外に東洋医学的な考え方で治療した例も紹介していきます。
標準治療で治らなかったニキビに対する漢方の有効性の実験
標準治療に抵抗があるニキビに対する漢方治療の有効性を検討した論文が発表されています。
この実験では3ヶ月以上の標準治療をして治らなかった人を対象に、3ヶ月間の漢方治療がおこなわれました。
結果は”77%の人が治療有効と判定”され、女性における使用漢方と有効性は以下のような結果となっています。
引用元:標準的皮膚科治療に抵抗性の座瘡に対する漢方治療の有効性の検討
元々は245人の実験で、副作用によって中止した人を除くと239人(女性:193人、男性:46人)です。
画像の青色部分は駆瘀血剤が使われているという印になっています。
難しい話は抜きにすると、この論文では以下のような結論が導き出されています。
難治性座瘡(重症ニキビ)に対して、女性で21歳以上は駆瘀血剤(くおけつざい)、男性は荊芥連翹湯または清上防風湯が有効な例が多かった
このことからわかるのは、”重症ニキビに対して有効な漢方薬があること”や”推奨されている漢方以外にも有効なものが多くある”ということです。
有効率が77%というのはアキュテインやホルモン治療と比べると低い数字ですが、標準治療で治らなかったときは検討するべき治療だと思います。
漢方の効果が出る期間
漢方薬は”早くて2週間、遅くても1か月程度”でなんらかの効果が出ます。
ただ完全に治すためには2,3ヶ月は継続しなければなりません。
漢方の副作用まとめ
漢方も「医薬品」ですので、副作用はあります。
ただ他の薬を比べても、その副作用は少ないことで知られています。
- 胃がもたれる
- 下痢をする
- 食欲がなくなる
- 蕁麻疹(じんましん)が出る
この副作用は、”体質的に合わない時やアレルギー、一過性(初めに副作用が出てから治り始める)のもの”など様々です。
個人的には、”漢方をニキビ治療に使うときは皮膚科医の先生に処方してもらうのが良い”と考えています。
皮膚科学にも漢方の治療はありますし、適切な漢方を適切な量で処方してもらえます。
アレルギーテストなどで、副作用にもしっかりと気を付けてくれるでしょう。
どちらにせよ、漢方を個人で使うのはあまりおすすめしません。
ニキビに効くおすすめ漢方
ニキビに処方される漢方薬は色々な種類あるのですが、日本皮膚科学会に認められている漢方や実験で使われた漢方を紹介していきます。
漢方は裏にある生活習慣の改善にもつながりやすいので、目的に合った漢方を選ぶのが良いです。
ただ”個人で選ぶよりも皮膚科医の先生や漢方の専門の方から処方してもらう”ようにしてください。
最近は漢方外来も増えていますし、皮膚科か漢方外来で手に入れることをオススメします。
荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)
荊芥連翹湯は、炎症のあるニキビ(赤ニキビ)や白ニキビによく使われます。
ニキビとアトピー性皮膚炎が混じっている症状を持っている人に処方されることもあります。
作用は、”抗炎症作用”や”抗化膿性炎症作用(膿が出る炎症を抑える力)”の2つです。
また、ニキビの改善につながる抗酸化作用や他の漢方よりも高い抗菌活性などがあると報告されています。
荊芥連翹湯の有効率は単体で60.6%で、抗菌薬と組み合わせた治療で78.6%です。
清上防風湯(せいじょうぼうふうとう)
昔からニキビに使われてきた漢方の一つです。
こちらも”炎症を抑え、赤ニキビが大量にできる人に向いています。”
特に若い人や男性の方に向いていて、赤ら顔の人とも相性がいいですね。
処方としては、上で紹介した荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)とよく似ています。
こちらは、Tゾーンに赤ニキビが大量にできるという人に合っています。
有効率は軽症で80%、中等症で73.3%、重症で62.5%です。
十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)
おできができやすい人向けの漢方薬です。
便秘になっている人には、この処方は効きません。
この漢方は初期の段階のニキビに使われることが多く、飲み薬・塗り薬を使っても改善しない毛包炎に使われることもあります。
ニキビへの有効率は単体で75%で、黄連解毒湯と外用薬を組み合わせると78%です。
桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
桂枝茯苓丸は血行を改善することで知られる漢方です。
ニキビにも使えて、白ニキビ・赤ニキビともに使われています。
桂枝茯苓丸は、ニキビ治療ガイドライン2017で”白ニキビ・赤ニキビどちらにもC2(使用してもよいが推奨しない)という評価”です。
赤ニキビには有効性を示すエビデンスがあるようですが、桂枝茯苓丸と抗菌薬を併用していたようで評価なしとなっています。
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
当帰芍薬散は”ホルモンバランスに働きかける漢方で女性に使われることが多い”です。
ニキビ治療ガイドラインには掲載されていませんが、先ほどの実験結果では単体での有効率が65%となっています。
主に冷え性の方に使われていて、生理不順や貧血などの女性に多い症状向きです。
実験では清上防風湯と組み合わせることで、有効率100%(3例)となりました。
桃核承気湯(とうかくじょうきとう)
桃核承気湯は血行を改善できる薬の1つで、ホルモンバランスを整えることができます。
単体で使用した実験では83%の有効率で、女性に利用されることが多いです。
こちらもニキビ治療ガイドラインには掲載されていない漢方薬です。
加味逍遙散(かみしょうようさん)
加味逍遙散も血行改善やホルモンバランスの調整が期待できる漢方薬です。
ニキビにも使われていて、単体での有効率は100%(2例)でした。
実験では桂枝茯苓丸や桂枝茯苓丸加薏苡仁と組み合わせた薬が有効率100%(3例)となっています。
こちらもニキビ治療ガイドラインには掲載されていません。
漢方を使うときの入手方法
1.皮膚科
漢方はニキビ治療で推奨されている治療方法で、皮膚科によっては取り扱っています。
しかし標準治療で優秀な外用剤が出ていることもあるので、処方してもらえるかは先生によります。
”ニキビに保険が適応されるのは荊芥連翹湯と清上防風湯の2つ”です。
十味敗毒湯は化膿性皮膚疾患にのみ適応されます。
2.漢方外来
”確実に漢方治療をするなら、漢方外来へいくのがオススメ”です。
漢方外来では漢方薬を中心にしたニキビ治療をしています。
クリニックによっても変わりますが、標準治療の外用薬と組み合わせるケースも多いです。
まだ漢方治療をしたことがない人は一度漢方外来へ行ってみることをオススメします。
3.ドラッグストア
漢方薬はドラッグストアをはじめとした市販でも手に入れることができます。
”簡単に安く手に入れることができますが、専門家の診察やアドバイスがないため、正しい治療ができるかはわかりません。”
なので、確実に漢方の効果を実感するなら、皮膚科や漢方外来がオススメです。
ただ病院へいくのが面倒という人はドラッグストアで推奨されている漢方を試してみるのがいいでしょう。
まとめ
”色々な治療をしてきてニキビが治らなかったという人は漢方治療を試してみる価値があります。”
漢方治療はディフェリンやベピオの影響で、目立つことがなくなりましたが有効な治療法です。
とくに副作用も少なく済みますし、体質改善から考える東洋医学のやり方は標準治療とは別のアプローチだと考えています。
今までの方法でダメでも漢方治療なら効果があるという人もいるでしょう。
なので、ニキビに繰り返しニキビに悩んできた人は試してみてはいかがでしょうか?
- ニキビの治し方講座【重症編】