今回はバリア機能の説明からその回復方法まで解説していきます。
よく敏感肌の方なんかは「バリア機能が低下して~」というようなことをおっしゃっています。
実際に”敏感肌はバリア機能が低下したことが原因ですが、そのせいで自称敏感肌の人が増えているのも事実”です。
今回はバリア機能とは何かについて詳しく説明して、バリア機能が低下する原因や引き起こされる肌トラブルなんかも解説します。
バリア機能について気になっている方は参考にしてみてください!
目次
バリア機能とは?肌の構造から解説
バリア機能とは、”外部の刺激から肌を守るための機能”です。
お風呂に入っていても水が染み込まないのもバリア機能のおかげですし、皮膚に異物が入らないのもバリア機能のおかげです。
一般的にバリア機能というと角質層のことを言いますが、今回は「皮脂」「タイトジャンクション」「角質層」の3つにわけて解説していきます。
この3つはそれぞれバリア機能として働いていると考えられているものです。
皮脂
皮脂とは、汗とは別に出てくるテカテカやベタベタする物質のことです。
脂性肌の方はこの皮脂がよく分泌される肌質をいいます。
一見するとニキビの原因やテカテカの原因と悪い印象しかないかもしれません。
しかし、アトピーが思春期になると減少するのは、成長ホルモンの影響で皮脂が分泌されてバリア機能が高くなっているためという説もあります。
”皮脂については研究が進んでいない部分も多いのですが、バリア機能としての働きはあると考えられている”のです。
実際、保湿クリームのような肌の水分蒸発を防ぐという働きは確認されています。
インナードライという内部が乾燥して、外が脂性になっている肌質があると考えると、皮脂には何らかの保湿作用があると考えるのが妥当でしょう。
角質層
角質層とは、表皮の一番外側にある肌のことです。
この層は細胞の死体が積み重なって、タンパク質が結合されています。
しかも”角質層の細胞は約10~20層ほど積み重なっていますし、その隙間は角質細胞間脂質がピッタリと埋めています。”
このようにして強力なバリア機能を作り上げているのです。
しかし、このバリア機能は年齢を重ねるごとに細胞間脂質のセラミドが減少して、低下していきます。
これ以外にも要因はありますが、バリア機能が低下するとより刺激を感じやすくなるのです。
ちなみに化粧品に配合されているヒト型セラミドは実際にバリア機能の改善やセラミドの合成を促進する働きが報告されています。
なので、バリア機能の対策としてセラミド配合のクリームを利用するのはありです。
セラミド配合のオススメクリームランキング!化粧水がダメって本当?
タイトジャンクション
タイトジャンクションとは、角質層の1つ下の顆粒層にある細胞をつなぎ合わせているものです。
顆粒層の2層目に存在していて、細胞をベルトのように囲んでいます。
働きは”肌内部の水が角質層に漏れないようにしたり、細胞の間から細菌などが侵入してくるのを防いだり”しています。
「皮脂」「角質層」に続いてバリアしているわけですが、もしさらに侵入してしまうとアトピーやアレルギーを引き起こしてしまいます。
特にタイトジャンクションはアトピーの発症に関わっていると考えられています。
バリア機能が低下する原因
バリア機能が低下する原因は複雑で挙げようと思えば、多くの要因が挙げられます。
しかしここでははっきりとわかっている要因を3つ説明します。
- ストレス
- 加齢
- 紫外線
それぞれ解説していきます!
1.ストレス
バリア機能が低下する原因の1つにストレスが挙げられます。
”ストレスがバリア機能の低下や肌トラブルを悪化させる傾向がある”ことは確認されています。
特に心理的な要因がバリア機能に影響が出るということはわかっています。
ただここでの心理的な要因というのはいい意味でも悪い意味でもです。
例えば”アロマのようなニオイによるメンタルケアも有効性”が示されています。
なので、バリア機能を低下する原因にもなりますし、それを改善することも可能なのです。
2.加齢
”年齢を重ねるごとに、細胞間脂質のセラミドなどの量は減少”していきます。
そのため、バリア機能も低下すると考えられます。
歳を取るにつれて乾燥しやすくなるのも、これが要因です。
保湿に関しては化粧品でも医薬品でもいいので、自分にあったもので継続することをオススメします。
3.紫外線
紫外線を浴び続けると、肌のバリア機能が低下し乾燥しやすくなるとわかっています。
またバリア機能が低い状態で紫外線を浴びていると、肌内部で炎症が発生することもあります。
こうなると、メラニン色素も過剰に生成されることになり、色素沈着になりやすいです。
特にニキビの薬を使っていて、”一時的にバリア機能が低い状態になっているときは欠かさずに紫外線対策をおこなう”必要があります。
バリア機能が低下するとどうなるの?バリア機能低下時のトラブル一覧
敏感肌
バリア機能が低下したときに一番わかりやすいのは”敏感肌”です。
バリア機能が低下しているということは刺激を感じやすくなっています。
敏感肌になったと感じやすいのは化粧水と報告されているので、いつも使っている化粧水で刺激を感じたら注意です。
敏感肌の方は健康的な肌と比べて、知覚過敏になっていることがわかっています。
アトピー
”バリア機能が低下して外部から細菌などが侵入することで、アトピーになる”と考えられています。
ただあくまで1つの原因なので、アトピーには他にも色々な原因があります。
また子供のころにアトピーになってしまうと、将来花粉症やぜん息になりやすいとわかっていて、この原因がバリア機能の低さからと考えることもできるようです。
ここで問題なのは”バリア機能の低下が皮膚以外にも、影響してしまう”という点です。
これも後で説明しますが、バリア機能が低いということは想像以上に大きな影響があります。
インナードライ
バリア機能が低くなると、インナードライを引き起こすこともあります。
インナードライとは、肌内部は乾燥しているのに表面は皮脂が分泌されている状態です。
”見た目は脂性肌ですが、肌は乾燥しているため、いくら皮脂を取り除いても繰り返し分泌”されます。
理由は肌内部が乾燥しているため、皮脂を分泌して乾燥を防ごうとしているのです。
こうなると、皮脂を取り除く→分泌されるの無限ループになってしまうので、厄介な肌トラブルといえます。
アレルギー
バリア機能が低いと、アレルゲンが侵入しやすくなるのでアレルギーの原因になるとも考えられています。
特に多いのが食物アレルギーで、小麦アレルギーやピーナッツアレルギーなどが報告されています。
メカニズムとしてはアトピーと同じでバリア機能の低下ですが、アレルギーには色々な原因があるので一概には言えません。
ぜん息
バリア機能とぜん息は密接に関わっています。
”喘息はアレルギー疾患と合併しやすいため、バリア機能が低下するとアレルギーが起こり、発症する”と考えられています。
ただ中国ではアトピーと合併しないぜん息患者の方との相関が報告されています。
なにより、「上皮バリア機能と喘息」という論文が発表されているので、よく知られていることなのでしょう。
バリア機能を回復させる方法
1.水分補給
バリア機能を高める方法の1つに水分補給が考えられる。
温浴と角層水分量・水分蒸散量を見る実験では、温浴とともに水分蒸散量の上昇が見られましたたが、角層水分量は高いまま保持されていました。
基本的に角層水分量と水分蒸散量は、負の相関関係があるとわかっています。
実験をするときに水を飲むということはしていないため、体の中から角質層に水が送られたことが予想できます。
しかしここで体内の水分量が少なければ、角質層の水分量にも影響が出る可能性があります。
なので、”水分不足の人は純粋な水を補給することで改善できるかも”しれません。
参考:http://iyokan.lib.ehime-u.ac.jp/dspace/bitstream/iyokan/1156/1/kiyou45-50-okada.pdf
2.ヘパリン類似物質(ヒルドイド)を利用する
なにかと話題の”ヒルドイドは、角質層の水分保持機能とバリア機能の低下を改善する”ことがわかっています。
特に肌のセラミド(天然保湿因子)の増加に関わっていて、角質細胞間脂質の回復促進にも関係しています。
さすがに皮膚科でもらえる保湿剤なだけあって、保湿力もバリア機能への効果の高さも抜群です。
ただ”ヒルドイドを化粧水感覚で皮膚科へもらいに行くのは問題”なので、「HPローション」や「HPクリーム」をオススメします。
これは皮膚科でもらえるヒルドイドと同じ量が含まれている第二類医薬品(市販で買える)です。
ヒルドイドを使いたい方は試してみてください。
3.ライスパワーエキスNo.11を利用する
ライスパワーエキスNo.11は、皮膚水分保持能の改善が厚生労働省に認められている成分です。
水分保持能とは、人が元々もっている皮膚の水分を保持する力のことを言います。
”ライスパワーエキスNo.11は細胞間脂質を増やし、肌の水分を保つ力を改善してくれる”のです。
この成分は普通の保湿のように一時的に肌を潤すのではなく、能力を改善させます。
ライスパワーエキスNo.11を配合した化粧品としては「ライースリペア」なんかが有名です。
バリア機能で悩んでいるなら、一度試してみる価値があります。
4.肌のコラーゲンを作り出す栄養素を補う
”バリア機能を高めたいなら、バリア機能を担っている保湿成分の量を正常に戻せばいい”わけです。
つまり一時的な保湿よりも根本的に作り出される量も増やせれば、より根本的な解決になる可能性があります。
- プロリン
- リジン
この2つの栄養素は表皮の細胞増殖を活性化する働きがあり、結果として細胞間脂質や角質水分量を高めるとわかっています。
この”やり方はただの保湿ではなく、水を保持する量を増やせるため、自然と角質の水分量を高めることができる”のです。
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まとめ
バリア機能とは、外部からの刺激から肌を守るための強力な防御でした。
この守りは皮脂やタイトジャンクション、角質層からできていて、とても堅い守りになっています。
しかも、角質層は何層にも積み重ねられていて、簡単には侵入できない仕組みです。
ただしこのバリア機能が低下してしまうと、肌トラブルだけではなく大きな影響を及ぼすことがわかっています。
なので、バリア機能の回復方法をぜひ試してみてください!
また保湿用のクリームが欲しい方は「セラミド配合のオススメクリームランキング!化粧水がダメって本当?」がオススメです。